陰謀論を信じるタイプの人にはなりたくないという話

2~3年ほど仕事をせずにいたのだが、久しぶりに仕事を再開した。中小企業で事務をすることになった。

私の前任者は別の部署に異動することになったようで、すでに異動したその人から引き継ぎを受けている。

私は以前に2社を経験しているけれど、そのどちらも異動になったら早いところで1週間、遅くても1カ月以内には全ての仕事を引き継いで、次の部署の仕事に取り掛かっていた。っていうか、説明するまでもなくそれが当たり前なわけで。

でも、今の会社、あんまり異動がないみたいで、その前任者は仕事はそのまま持っていくつもりらしい。もちろん、部長職はそんなことを思っているわけではなく、「きちんと引き継いでね」ってスタンスなんだけれど、その前任者は「僕の仕事が不当に奪われようとしている。」ってなノリ。

その人の機嫌を損ねないように、褒めおだて、引き継ぎを行っている。「この管理表、使いやすいですね~」とか、そんな感じで。その人は、それに対して気分がよくなったり、あるいはおだててもあんまり反応なし、ってこともある。

そこまでは、いいんだけれど、そもそも事務の仕事ってのは、たとえば1カ月とか四半期とか1年のスパンでサイクルがあって、それにあわせて動くことが多い。だから、まず大枠のぐるっとした業務の流れを聞かないと、具体的な作業だけをポンと単発で教えてもらっても、あまり意味がない。

だから、具体的な作業を教えてもらった時に、「これはどういう一連の流れがあるなかでの、この作業なんですか?」って尋ねるわけだけれど。

その人にとっては、これが一番嫌な質問らしい。この質問をすると必ず、「部長から何て言われてるのか知らないけど、私はそんなに早くこの仕事を引き継ぐつもりはないから!」って言われてしまう。少なくとも、半年くらいはこの引き継ぎ作業に時間をかけたいらしい。

この仕事は難しいから、そんなにすぐは理解できないよ、ってのがその人のスタンス。自分は不当に仕事を奪われているけれど、そんな簡単に奪えるような仕事じゃないから、そんな簡単に理解できないから、みたいな事を言う。きっと、今まで部長や評価者から不当な評価を受けていたことをこの引き継ぎを通してアピールしたい部分もあるんじゃないかと感じる。

もちろん実際はそんな価値のある仕事じゃなく、ただの事務だ。せいぜい、2週間あれば引き継げる内容。そんなことにダラダラ時間をかけるのは無駄だし、というまっとうな理由でとりあえずのざっくりとした流れを気分を損ねないように聞き出すように日々努力しているわけだけど、その人は、部長が「早くその人から仕事を奪え!」的な指示出しをしていて、それに基づいて仕事の概要から先に聞き出しているんだ、というなかば陰謀論のようなことを思っているらしい。

もともと、部署を異動するということがどういうことか、というのが理解できていないと、ごくごく普通の仕事の引き継ぎも陰謀論になってしまうのだな、などとぼんやり思いながら明日も仕事をするのだろう。

私も陰謀論者にならないように、当たり前の道理を当たり前と判断できるようにありたい、と悲しい中年の後ろ姿を見ながら深く感じる日々なのであった。